素材について

桐(キリ)

木芯に穴のある桐は、双子葉植物、ゴマノハグサ科に属する草の類で日本を代表する珍しい木です。草ながら木と同じようだと言う事で「桐」という字が出来上がった のでしょう。中国や朝鮮にもありますが木材としては使用しません。昔中国では桐を植えると鳳凰が訪れるとされ救世主の出現を意味する吉事をあらわしました。 その桐を図式化した桐紋が日本の皇室に伝わり、以来今日まで皇室では家具類に桐が使われてきました。

こうしたことから格調の高い木として日本人に珍重されるにいたりました。同時にその美しく清浄な木肌は、白無垢を意味し、婚礼には欠かせないものとなりました。いまでは箪笥と呼ぶのは全てこの桐箪笥を指します。

また桐材は日本産樹木のうちで、最も軽く(比重0.3前後)、柔らかく、狂いも少ない上、木目が美しいので家具では最上品とされています。 四季の変化が激しい日本では湿度が18パーセントから80パーセントまでの上下があるといわれ非常に収納物が傷みやすい条件下に有ります。その点桐は湿気を発散するという特有の性質を持つ「生きている材」で、冷暖房を使う現代の家屋に適した日本の風土に欠かせない材です。また水と熱には断然強く、このため金庫とか巻き物などの重要物の箱には全て桐が使われます。

桐材の品種の中で最高といわれるのが会津桐です。この桐は長年雪におおわれた盆地で育ち、年輪(冬目)に立体感があり、迫力のある木目の堅さと金色の美しさを誇っています。 この最上級の桐材は、まず梅雨の雨に何度も通して、灰汁抜きするという長年にわたる天然乾燥を行います。 そしてその加工は全て手作りです。木質が柔らかいため機械加工や彫刻がし難く高度な刃物で一気に削る独特の技術が要求されます。 塗装は砥粉とヤシャの実を煎じた水性の天然塗料を使用し、最後にロウによる磨き仕上げをします。こうした工程を経る為、桐箪笥は何年経っても熱湯で洗浄することにより新品同様に蘇るという大きな特徴を持っているのです。

柾を原則にする清く美しい木目、心安らぐ色艶、味わい尽くせない深い趣。桐の魅力は数え上げればきりがありません。 当社では材料から仕上げまで、日本では例を見ない一貫システム工場において失われつつある伝統の職人道による最高の技術を駆使して、今日も本筋を追う桐箪笥の伝承に意欲的に取り組んでいます。

この素材を使用した家具シリーズ

  • 桐箪笥

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